月別アーカイブ: 2008年1月

ふりかえり

KPT法を使う場合に気をつけること

 以前、書いたKPT法を実際に1人やプロジェクトの「フリカエリ」で使ってみて感じたことを書きます。

※注意:この記事は旧サウスポーなエンジニアの独り言から移行し一部修正したエントリです。
 
 KPT法の優れている点は以下の3つと思います。

1つ目:サッとできる。

 紙とエンピツがあればすぐにその場でできます。

2つ目:見える化できる。

 付箋紙等を使えば「見える化」されることで、改善される感がより実感できます。

3つ目:ブレストしやすい。

 手軽に行えるので前準備も特に必要なく、みんなでやりやすく、良いブレーンストーミングができる可能性が高くなります。

KPTの難しい点

 逆に「これはKPT法では難しい」と思ったこともありました。
 KPT法では「悪かった点(Problem)」に対し「改善点(Try)」を行いますが、このTryが抽象度が高いぼやけた内容だと「なんとなく」な内容になり、そのアクションリストも曖昧なものになります。
 つまり「Problem」に対する表面的な「Try」でしかなく、『真因』まで分析できていないからです。

 製造業の現場に多い「なぜを5回繰り返す」「なぜなぜ分析」など、考えに考え抜き、その真因を導き出すのが「根本的な改善」というものです。

 ただ、(KPT法に比べ)時間がかかり、また、「なぜ?なぜ??」と突き詰めるのはパワーも必要なのでなかなかそこまで踏み込めないこともあります。

 話を戻すと「Problem」に対する表面的な「Try」を立ててみたところで、その「Try」は的外れかもしれません。

 この手の改善プロセスは、割とすぐに目に見える効果が出ないとしんどくなり、必須でも無い故に「やっぱり無駄なので、止めようよ」となりがちです。
 そのためにも、小さな成功体験で良いので、それを体験する時を導入する時の最初の目標にすることもあります。

 「Keep」も同様で「なぜそれが良かったのか?/良くできたのか?」が分からず、「なぜかな知らないけど偶然出来た」レベルでは、再現性の低い事象となります。
 その結果、習慣として定着せず、安定した高いパフォーマンスを出せなくなります。

 最初からヘビーウェイトなプロセスで深掘りするのもしんどいものですし、そもそも全ての「Problem」に対して必要があるか分かりません。そしてもちろんそんな時間もありません。

 ですので、どれを重点的に深掘りするか「見える化」するためにKPT法を使い、そこから重点的な項目に深掘りの技法を使うのが私にとってはしっくり来る改善のパターンだと感じました。

教えてもらう、教える時に気をつけていること

仕事やバレーで教えてもらったり、教える(そこまでいかなくてもアドバイスする)ことが、ちょくちょくあります。
↓は自分が教える = 伝え手の場合に気をつけていることです。

1:論理や順序の飛躍をしない

当たり前なのですが、せっかちな人程してしまいがちだと思います。

思考と会話が追いつかずに(逸る気持ちばかりが前に出てしまい)飛躍してしまいます。
また、自分自身が試行錯誤して苦労した過程をすっ飛ばして、凝縮してダイジェスト的に伝えてしまい、飛躍してしまうこともあります。

例として適当ではないかもしれませんが、コマーシャルなんかの映画ダイジェストでは「なんかイメージはつかめたけど詳細はよう分からん」(もちろんコマーシャル的には興味を喚起できれば良いわけですが)となります。

その結果、いざ聞き手が実践しようとすると「自分の腑に落ちていない」ため、うまく出来ないことが多いと思います(「分かった気になっていたけど…」という感じです)。

2:一度に多くを伝えない

1でも書きましたが、伝え手にとって既知である故、また状況によって時間的制約等があって、一度に多くのことを伝えようとしがちです。そしてその結果上に書いたように飛躍をしてしまいます。
これは未知の事柄と対面している聞き手は消化不良を引き起こしがちです。

この1と2に嵌ってしまうと…

聞き手:「分かったようでなんか分からない」だから「もう一度聞く」
伝え手:「前に話したし、時間も無いのに」だから「より勢いよく(=飛躍して)話す」
聞き手:「(より飛躍しているので)何が分からないのかすら分からなくて」だから「イライラして聞く」

…と悪循環に突入します。
結果、予定していた時間、リソースより多くが必要になります。また感情的にも双方満足できないことになります。

3:伝え手ではなく、聞き手にあった形に伝える

伝え手が「論理的な文章」でキチッと説明されるのがあっているとしても、聞き手は、擬音/擬態語が散りばめられた(そこでバァーとして、そっちにシャシャッとする感じで…)生き生きした言葉が分かりやすいかもしれません。
また別のある人にとっては図表を駆使した方が良いかもしれません。
※伝えるべき事柄によっても合う形も違いますが。

人によって「自分の腑に落ちる」形は違うので聞き手の鍵穴(腑に落ちる為には開ける必要がある)に合うように伝え手の鍵を変える感じです。合わない鍵で無理矢理ガチャガチャしても、鍵穴も鍵も傷ついて良いことはありません。

ではこのようなことを少しでも回避/防止するために、聞き手に対してアプローチしていることを考えてみました。

アプローチしていること

1:事前:「結果としてどのレベルに到達したいか?」を確認する

概略、さわりだけをサクッと知りたいのか…、仕事で実際に使えるようにガッツリ知りたいのか、それとも…という感じです。
これには、知りたい深さとその周辺知識への広がり(広さ)、そしてそれに使うことのできる時間の3要素があり、その組合せで到達したい(する)レベルが決まるものです。
これが伝え手と聞き手でずれていると、どっちか(だいたい聞き手ですが)がイライラすることになります。

2:途中:伝えたことを聞き手の言葉で言ってもらう

聞き手が消化不良を起こしていないか、(なんとなく)「分かったつもりだが実は分かっていない」状態でないか確認できます。
これの注意点は、その聞き手の言葉から話題が派生していき、本筋から外れていく…脱線していくことです。特に議論が熱くなっていると往々にしてあります。

3:事後:伝えたことが実践されているか確認する

内容によって確認できないこともありますし、また、アドバイスを聞き入れるかは聞き手の判断によるので難しいですが…。
また運動系は「分かっていても(身体がついていかず)すぐに出来ない」ことも多いですのでこれまた難しいですが…。
ただ、すぐに結果が出ないとしても、理解して聞き手の「腑に落ちている」のなら、意識しているはずなので、外から(特に伝え手が)見れば分かると思います。

逆に自分が教えてもらったりする時にはこれらを実践することが、伝え手/聞き手の双方にとって良い関係を築き、目的を達成する近道と思います。

※注意:この記事は旧サウスポーなエンジニアの独り言から移行し一部修正したエントリです。

Photo credit: starmanseries via Visual Hunt / CC BY